バチャータとは?──ドミニカ発「Música de amargue(苦しみの音楽)」が世界を獲った理由

COLUMN
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バチャータ(Bachata)は、ドミニカ共和国発祥のダンス音楽です。
ラテン音楽の中でも、とくに「恋愛の痛み」と「ギターのきらびやかな音色」によって、多くのリスナーを惹きつけてきました。

レゲトンが“外(パーティ)へ向かうエネルギー”を持つ音楽だとすれば、バチャータは“内(帰り道や一人の時間)へ向かうエネルギー”を持つ音楽と言えます。
クラブでも成立する一方で、イヤホンで聴くと感情に深く入り込んでくる。その二面性こそが、バチャータの大きな魅力です。

ドミニカでは、バチャータを
「Música de amargue(ムシカ・デ・アマルゲ)」=“苦しみの音楽”
と呼ぶことがあります。
失恋、嫉妬、未練、執着──恋愛にまつわるネガティブな感情を、踊れる音楽として昇華したもの。それがバチャータです。

この記事では、
「バチャータの特徴は何か」
「どんな種類があるのか」
といったポイントを分かりやすく解説していきます。

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バチャータの最大の特徴:4拍目の「Tap」と独特の“タメ”

バチャータは4/4拍子(4拍子)の音楽ですが、最大の特徴はリズムの“感じ方”にあります。

ダンスのカウントでは、基本的に

「1, 2, 3, Tap!」

という取り方がされます。
この4拍目のアクセント(タップ)が、バチャータ特有の身体感覚を生み出します。

レゲトンのデンボウ・リズムが「3-3-2」のような跳ねやポリリズム感を持つのに対し、バチャータは直線的で、溜めのあるリズムです。
4拍目で腰が入り、余韻が生まれる。この感覚が分かると、音楽とダンスが自然につながります。

単なる4拍子ではなく、4拍目に感情の余白がある
この一瞬の“タップ”が、バチャータの甘さと切なさの核になっています。

あのキラキラした音の正体:レキント(Requinto)

バチャータを象徴する、高音でキラキラと鳴るギターのフレーズ。
これは多くの場合、「レキント(Requinto)」と呼ばれるリードギターが担っています。

現代のバチャータでは、

  • エレクトリック・アコースティックギター(エレアコ)
  • またはエレクトリック寄りのリードギター

が使われることが多く、旋律で感情を表現する役割を果たします。

レゲトンがドラム(デンボウ)によって身体を動かす音楽だとすれば、
バチャータはレキントによって心を揺らす音楽
この役割の違いを意識すると、聴き方が大きく変わります。

ルーツ:ドミニカの“庶民の恋愛歌”

バチャータは、ドミニカ共和国の庶民的な生活の中で育まれてきた音楽です。
きれいごとではない恋愛──
「後悔」「未練」「嫉妬」「孤独」
そうした感情が率直に歌われてきました。

それが、バチャータが「Música de amargue(苦しみの音楽)」と呼ばれる理由です。

この“生活の匂い”を持つリアルさは、レゲトンやラテントラップが好きなリスナーにも共通して刺さるポイントです。
音楽性は異なっても、感情の温度が高いという点では、同じラテン・アーバンの流れにあります。

バチャータの種類

現在のバチャータは、大きく次の4つに分けて考えると理解しやすくなります。

1)Traditional Bachata(伝統的バチャータ)

ギター中心で素朴なサウンド。
音数は少ないものの、歌とギターの感情表現が強く、アマルゲ(苦み)が最も濃いスタイルです。

代表的アーティスト:Anthony Santos


2)Bachata Moderna / Urban Bachata(現代的バチャータ)

世界的に広まった入口的なスタイル。
音が洗練され、ポップやR&Bの要素が加わり、サビも分かりやすいのが特徴です。

代表的アーティスト:Romeo Santos

代表的アーティスト:Prince Royce

3)Fusion Bachata(融合型)

レゲトン的な音圧やボーカル処理、現代的な制作手法を取り入れたスタイル。
配信やクラブで映えるバチャータとして、現在の主流の一つです。

代表的アーティスト:Manuel Turizo

4)Sensual Bachata(センシュアル・バチャータ)

音楽ジャンルというよりダンススタイルとして語られることが多い、スペイン発祥のスタイル。
滑らかな動きと高い密着度が特徴で、日本のダンスシーンやSNSで多く見られます。

代表的アーティスト:Dani J

まとめ

バチャータは、

  • 4拍目のTap
  • レキントの旋律
  • Música de amargue(苦しみの音楽)

この3つを軸に、恋愛の痛みを踊れる形へと昇華してきた音楽です。

レゲトンが好きな人にとって、バチャータは決して遠い存在ではありません。
同じ夜の中で、感情の違う側面を鳴らしている音楽なのです。

次にバチャータが流れたら、ぜひ4拍目のTapレキントの音に耳を傾けてみてください。
きっと、聴こえ方が変わるはずです。

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