◆ これまで「アメリカではやらない」と語ってきたBad Bunny

今回のニュースが大きな注目を集めるのは、Bad Bunnyがこれまで「アメリカ本土でショーはしない」と明言してきたからです。
彼はプエルトリコの社会問題に強い関心を持ち、米国政府の姿勢を公然と批判してきました。特に2017年のハリケーン・マリア後の対応については「自分たちの島は見捨てられた」と発言。こうした経緯から、アメリカのエンタメ産業に対して距離を置き、ワールドツアーでも米国公演を避ける戦略をとってきたのです。

それだけに今回のスーパーボウル出演は、ファンにとってもメディアにとっても大きなサプライズ。本人はLOS40の取材に対し、

「アメリカではやらないつもりだった。でもこれは一度きりの特別な機会だ」

— Bad Bunny（報道より） / 出典： LOS40

◆ 世界を制したラテン・アイデンティティ

Bad Bunnyがここまで強固に“アメリカ迎合”を拒んできたのは、ラテン音楽のアイデンティティを守るためでもあります。
彼は常にスペイン語で歌い、英語への切り替えを避けてきました。その結果、英語を一切使わずにSpotify世界1位やBillboardチャートを席巻。2020年代において、「言語の壁を越えた最初の真のラテン・スーパースター」としての地位を築き上げました。

アメリカのショービズに取り込まれることなく、自分のルーツを貫いてきたからこそ、世界中のファンが「Bad Bunnyは本物だ」と感じているわけです。

◆ スーパーボウルに込められた意味

では、なぜ今になってスーパーボウル出演を決断したのか。
NFLと提携するJay-Zは「彼がプエルトリコのためにやってきたことは本当にインスピレーションだ」とコメント。Bad Bunny自身も「これはプエルトリコを世界に見せるチャンス」と語っています。

つまり今回のステージは、米国のショービズに迎合するためではなく、プエルトリコを代表して世界最大の舞台に立つという強いメッセージ。2019年にJ.LoとShakiraが共演したときもラテン文化が全面に押し出されましたが、今回は初のラテン男性ソロアーティストとしての歴史的瞬間となります。

近年の象徴：Rihanna（2023）の圧倒的ハーフタイム

直近の名演のひとつ。演出規模とブランディング力の両立は、2026年の期待値をさらに押し上げます。

“伝説”の系譜：Hip Hopレジェンドの競演（2022）

Dr. Dre、Snoop、Eminem、50cent、Mary J. Bligeらが集結した2022年。
伝説のショーの誕生。

まとめ

「アメリカはやらない」からの“一度きり”の例外。それをラテンの誇りと表明として世界に刻む。
2月8日、Levi’s Stadiumで何が起きるのか。プエルトリコの旗とともに、歴史がまたひとつ塗り替わる瞬間を目撃しましょう。