Don Omar|レゲトン界の“キング”が歩んだ軌跡

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CHIRO
先輩〜、ワイルドスピード見てたっすか?
あのリコってキャラ、めちゃカッコよかったんすけど…誰なんすか?
Ichi the JP
あれはDon Omar、レゲトン界の“キング”だよ。
音楽でも映画でも伝説級。
あの存在感は、ラテン音楽史の生き証人って感じだね。
Don Omar(ドン・オマール)

Instagramフォロワー数:1,300万人
X(旧Twitter)    : 530万人
Spotify月間リスナー数 : 4,053万人

1978〜2002年|教会と音楽、2つの世界に生きた青年時代

1978年2月10日、プエルトリコ・サントゥルセにて誕生したウィリアム・オマール・ランドロン・リベラ。
彼の幼少期は決して恵まれた環境とは言えず、家計は苦しく、荒れた地域で育ちました。しかし彼を支えたのが「音楽」と「信仰」でした。

10代からプロテスタント教会「Iglesia Evangélica Restauración en Cristo」に通い、説教者として4年間活動。
その傍らで、Vico CやBrewley MCなど、当時のラテンラップの先駆者に強く影響を受け、徐々に音楽への情熱を隠しきれなくなっていきます。

最終的に教会の道を離れ、ナイトクラブでのラップバトルやローカルDJのミックステープ参加を経て、地下レゲトンシーンで頭角を現していきました。

2003〜2007年|『The Last Don』でスターダムへ、レゲトンの顔に

2003年、Héctor & Titoの後押しを受けてリリースしたデビューアルバム『The Last Don』が大ヒット。
この作品はアメリカで40万枚以上を売り上げ、Billboard Latin Albumsチャートで上位にランクインしました。

Don Omarの音楽は、リズムの強さだけでなく、宗教的・社会的なテーマを含むリリックが特徴。
これにより彼は“ストリートの詩人”とも評されました。

2006年には2作目『King of Kings』を発表。
このアルバムはBillboard 200で7位に入り、スペイン語アルバムとしては当時史上最高順位を記録。
「Angelito」「Conteo」などのヒット曲を生み出し、Don Omarは“King of Reggaetón”の称号を手にしました。

この時期、彼はOrfanato Music Groupという自らのレーベルも設立。後進の育成にも力を入れ始めます。

2008〜2012年|エレクトロ化と“Danza Kuduro”の世界制覇

2009年に発表された『iDon』では、EDMのエッセンスを大胆に取り入れ、未来的なレゲトン=“エレクトロ・レゲトン”を打ち出しました。
これは当時としては非常に斬新な試みで、ジャンルの幅を広げた革新的な一歩です。

2010年、ポルトガルのLucenzoと組んだ「Danza Kuduro」が空前の世界的ヒットに。
ヨーロッパから中南米、アメリカまでチャートを席巻し、YouTubeでは10億回再生を突破。
この曲の爆発力で、Don Omarの名は「世界のラテンアンセム」を代表する存在となりました。


また、俳優としても成功。

『ワイルド・スピード MAX』で“Rico Santos”役を演じ、同シリーズにはその後もたびたび出演。

音楽シーン外でも彼の名は浸透していきました。

2013〜2017年|頂点と停滞、引退を選んだレジェンド

2012年の『Don Omar Presents: Meet The Orphans 2』はヒットを記録し、同時にOrfanato Music GroupはNatti Natasha、Kendo Kaponiなどの育成で存在感を増していました。
レゲトン界での影響力は圧倒的なものとなっていましたが、次第に業界の方向性に疑問を感じるようになります。

2017年、突然の引退宣言。

プエルトリコでのラストツアーをもって、音楽活動から退くことを発表。
SNS上では「Don te vamos a extrañar(ドン、寂しくなるよ)」というメッセージが世界中のファンから寄せられました。

引退理由には、身体的な疲れや自己表現の限界、そして新たなフェーズへの意識があったと語られています。

2018〜2022年|静かな復帰と再評価、カルチャーアイコンへ

2019年、Farrukoとの共演曲「Ramayama」でシーンに復帰。
この楽曲では原点回帰ともいえるリリックとリズムで、コアなレゲトンファンの信頼を再び掴みました。

この時期、Don Omarの再評価が進みます。
新旧ファンのあいだで、「Don Omarの時代がまた来ている」と語られるようになり、若手アーティストからもリスペクトを集める存在に。

映画『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021年)にも再登場し、エンタメ界でもその影響力を健在であることを示しました。

2023〜現在(2025年)|がん告白、奇跡の生還、そして再び“王”へ

2024年6月、Instagramでがんを患っていることを公表。
その翌日には「手術は成功し、がんから解放された」と報告し、世界中のファンから祝福の声が寄せられました。

Don Omarはこの経験を経て「命の重みと音楽の力を、これまで以上に信じている」と発言。
彼の言葉と音楽が、新たな世代にも希望を届けています。

2025年現在、「Sueños Festival」や「Baja Beach Fest」などの大型フェスに出演し、ライブ活動も再び全開。
音楽ストリーミングではSpotify月間リスナー数4000万人を突破、Instagramフォロワー1300万人とその影響力は健在です。

まとめ|Don Omarは「王」であり続ける

Don Omarの軌跡は、ラテン音楽の拡張そのものです。
彼はただのシンガーではなく、レゲトンというジャンルを育て、文化に昇華させた“カルチャーの王”。
音楽、映画、レーベル、そして人間としての物語──そのすべてが、今のレゲトン界に影響を与え続けています。

“Don”ではなく“King”。これこそが、Don Omarの真の姿なのです。

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