2025年9月17日、2025年のグラミー賞ノミネートが発表された。
1959年に始まったグラミー賞は、世界で最も権威ある音楽賞のひとつとして知られ、その年の音楽シーンやトレンドを象徴する存在となっている。受賞結果はもちろん、ノミネートの段階からすでに各国のメディアやファンの注目を集める。
そんなグラミー賞の中で、近年特に存在感を増しているのがラテンアーティストたちだ。
レゲトン、ラテンポップ、トラップ、メキシカン・リージョナルなど、多様なサウンドが世界中で拡大を続けており、今回の2025年グラミーでもその勢いは健在。
本記事では、今年の主要部門でノミネートされたラテン勢のラインナップを中心に、その注目ポイントを紹介していく。
全体像:“総合部門”と“ジャンル別部門”

グラミー賞は、大きく2階層でできている。ひとつはジャンル横断の総合部門(General Field)。ここは世界中のアーティストが同じ土俵で競う“頂上決戦”である。
代表例は以下の通り。
- Record of the Year(年間最優秀レコード):作品としての音・パフォーマンスの総合評価
- Album of the Year(年間最優秀アルバム):アルバム全体の完成度を評価
- Song of the Year(年間最優秀楽曲):作曲・作詞の評価
- Best New Artist(最優秀新人賞):その年台頭したアーティスト
もうひとつはジャンル別部門。
Pop、Rock、R&B、Rap、Country、Jazz、Reggae、Global Music…などに分かれ、それぞれで“ベスト・アルバム/パフォーマンス/楽曲”が選ばれる。
そしてラテン勢にとっての主戦場は、PopやUrbanにまたがりつつ、Latin系の部門(Latin Pop、Música Urbana、Latin Rock/Alternative、Regional Mexican、Tropical、Latin Jazz)にもはっきり用意されている、という構造だ。
どのカテゴリでの受賞が熱いのか?
ラテン勢のニュースバリューが最も大きく跳ねるのは、総合部門(General Field)に食い込んだときである。
次点で、Música Urbana(=レゲトン/トラップ)やLatin Popなどの“ラテン系主戦場”で主要ノミネートを固めたとき。そして、非英語圏を横断するGlobal Music枠にラテン勢が入ってくる動きも近年は要注目である。
2025年「ラテン・グラミー」ノミネート(主なカテゴリ別)
ここからはLatin GRAMMY 2025(第26回)の公表ノミネートを、読者目線でサクッと掴めるようにカテゴリごとに列挙。
Record of the Year(年度代表レコード)
🎧 Record of the Year(年度代表レコード)
- Bad Bunny – “Baile Inolvidable”, “DTMF”
- CA7RIEL & Paco Amoroso – “El Día Del Amigo”, “#Tetas”
- Jorge Drexler & Conociendo Rusia – “Al Otro Lado del Río”
- Natalia Lafourcade – “Pajarito Colibrí”
- Karol G – “Si Antes Te Hubiera Conocido”
- Liniker – “Veludo Marrom”
- Alejandro Sanz – “Palmeras en el Jardín”
- Zoe Gotusso – “Desnuda”
🎧 グラミー豆知識:Record of the Year と Song of the Year の違い
グラミー賞でよく混同される2つの賞、Record of the Year と Song of the Year。どちらも“曲”を表彰していますが、実は評価される対象がまったく違います。
🎙️ Record of the Year(年間最優秀レコード)
こちらは「音の完成度」を評価する賞です。
録音(recording)そのものに対して贈られ、ボーカル・ミキシング・演奏・プロダクションなど、音としてのクオリティを総合的に判断します。
受賞するのは、アーティストやプロデューサー、エンジニアなど“音を作った人たち”です。
🎵 例:Miley Cyrus「Flowers」──サウンドと歌唱の完成度が評価されて受賞。
✍️ Song of the Year(年間最優秀楽曲)
こちらは「曲の内容=作詞・作曲」に対する賞です。
つまりソングライター(作曲家・作詞家)に贈られます。メロディ構成や歌詞のメッセージ性など、“作品としての芸術性”を評価します。
実際に歌っているアーティスト本人ではなく、曲を書いた人たちが受賞します。
🎵 例:Billie Eilish「What Was I Made For?」──歌詞と旋律の美しさが高く評価。
賞の種類 | 評価されるポイント | 受賞する人 |
---|---|---|
Record of the Year | 音の完成度、ミックス、ボーカル表現、アレンジの精度 | アーティスト/プロデューサー/エンジニア |
Song of the Year | 歌詞・メロディ・構成・メッセージ性 | 作詞家/作曲家 |
💡つまり、同じ曲が両部門でノミネートされることもありますが、
“音の完成度”を競うのが Record、
“曲の中身”を競うのが Song。
両方を制した作品は「技術」と「芸術」を兼ね備えた究極の名曲と言えるでしょう。
Album of the Year(年度最優秀アルバム)一部購入リンク付き
・Bad Bunny — DeBÍ TiRAR MáS FOToS
・Rauw Alejandro — Cosa Nuestra
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CA7RIEL & Paco Amoroso — PAPOTA
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Gloria Estefan — Raíce
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- Carín León — Palabra De To’s (Seca)
- Liniker — CAJU
- Elena Rose — En Las Nubes – Con Mis Panas
- Alejandro Sanz — ¿Y Ahora Qué?
- Vicente García — Puñito De Yocahú
- Natalia Lafourcade — Cancionera
Song of the Year(年度最優秀楽曲)
- Bad Bunny — “Baile Inolvidable” / “DTMF”
- CA7RIEL & Paco Amoroso — “El Día Del Amigo” / “#Tetas”
- Karol G — “Si Antes Te Hubiera Conocido”
- Mon Laferte — “Otra Noche de Llorar”
- Alejandro Sanz — “Palmeras en el Jardín”
- Natalia Lafourcade — “Cancionera”
- Liniker — “Veludo Marrom”
Best New Artist(最優秀新人)
- Alleh / Annasofia / Yerai Cortés / Juliane Gamboa / Camila Guevara
- Isadora / Alex Luna / Paloma Morphy / Sued Nunes / Ruzzi
ジャンル別・主な注目(例)
- Música Urbana / Urban Fusion / Reggaeton 系:Bad Bunny、Rauw Alejandro ほかが複数ノミネート
- Latin Pop:Karol G、Shakira などが主要候補に
- Latin Rock/Alternative・Latin Jazz・Tropical・Regional Mexican:各ジャンルの強豪(Gloria Estefan、Natalia Lafourcade、Carín León 等)が軸
※上記は公式発表・主要メディアの公表リストから抜粋した主な候補例です。
(全候補の完全一覧は公式ページへ)
受賞結果発表スケジュール
第26回ラテン・グラミー授賞式(Latin GRAMMYs 2025)は、現地 2025年11月13日(木)にラスベガス・MGMグランド・ガーデン・アリーナで開催されます。
ノミネーション発表は現地 9月17日、最終投票は 10月1日〜13日。
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