Tokischa|超完全ガイド!ストリートとフェミニズムを武器に世界を揺らすアーティスト

ARTISTS
CHIRO
先輩〜! Tokischaって人のMV見たんすけど…やばくないっすか⁉
日本にこういうアーティスト、絶対いないですよね?
ICHI
あれがドミニカの爆弾娘、Tokischaだ。
性もジェンダーもストリートも全部“本気”。
記事後半のRosalíaとのライブ映像は必見だ。
演出も距離感も、日本じゃまず見ない景色。覚悟して観ろよ。

1996–2010:ドミニカ共和国での幼少期

Tokischa(本名:Tokischa Altagracia Peralta)は、1996年3月17日、ドミニカ共和国サントドミンゴに生まれる。
子どもの頃から音楽やアートに親しみ、ヒップホップやレゲトンだけでなく、メレンゲやバチャータといった地元の伝統音楽にも触れて育った。
経済的に恵まれた環境ではなかったが、近所で流れるラジオや街頭スピーカーからの音楽が日常の一部となり、リズム感と独特の表現力を磨く。
幼少期の友人や家族は、彼女の人前で堂々と歌う姿に「人を惹きつける力がある」と感じていたという。

2011–2016:音楽とストリートアートの狭間で

10代になると、地元でのモデル活動やアートイベントに関わるようになり、並行して詩やラップの執筆を開始。
当時から性やジェンダーに関する既成概念に挑む歌詞を書き、身近な社会の現実を率直に描くスタイルを確立していく。
この頃、後に彼女のキャリアを支えることになるドミニカのプロデューサーやDJたちと出会い、地元のスタジオでレコーディングの基礎を学んだ。
Tokischaは当時を振り返り、「音楽はただの夢じゃなく、私が生きるための手段だった」と語っている。

2017–2020:デビュー、注目、そして議論

2018年、シングル「Pícala」で正式にデビュー。
翌年、「Tukuntazo」がストリートで爆発的にヒットし、TikTokや地元クラブで流れ続けるほどの存在感を見せた。
その一方で、露骨な描写や挑発的なパフォーマンスにより一部メディアや保守層から批判を受けることも。
しかしTokischaは「私の歌詞は現実を映しているだけ」と語り、ストリートに根ざしたリアルな表現を貫いた。
この時期に彼女の音楽は、単なるエンタメではなく、社会の裏側や日常を切り取るドキュメント的な意味を持ち始める。

2021–2023:国際的ブレイクスルー

2021年、スペインのスターRosalíaと組んだ「Linda」が世界的ヒット。
カリブ特有のデンボウリズムにポップな感覚を融合させ、SNSで数億回再生されるムーブメントを起こした。
2022年には再びRosalíaと共演した「La Combi Versace」をリリースし、ファッション誌やカルチャーメディアでも取り上げられる。
さらに同年、ポップ界の女王Madonnaとの共演が実現し、Tokischaの名前は欧米の音楽ファンにも広く知られるように。
この時期はヨーロッパ、アメリカの大型フェスへの出演も増え、ラテン・トラップとデンボウの魅力を世界に広める存在となった。

2024–現在:文化的アイコンとしての存在感

2024年以降、「Perra」「Sistema」など話題曲を次々発表。
社会的テーマやジェンダーの固定観念に挑む姿勢は変わらず、インタビューではセクシュアリティやセックスワークへの偏見を指摘し続けている。
彼女のファッションは、ハイブランドの大胆な着こなしとドミニカン・ストリートの要素をミックスさせた独自スタイルで、多くの若者の憧れとなっている。
2025年現在、Tokischaは単なるアーティストではなく、音楽・ファッション・社会的発言すべてを通してカルチャーシーンを揺さぶる存在だ。

ジェンダーと自己表現:タブーを壊す声

Tokischaの最大の特徴のひとつは、ジェンダーやセクシュアリティに関する表現の大胆さと自由さだ。
彼女は楽曲やインタビューで、女性の性的欲望をオープンに描写し、伝統的なラテン音楽にありがちな「男性視点からの女性像」に真っ向から対抗してきた。

例えば、2021年の「Linda」では“女性同士の親密さ”を肯定的に歌い、MVでも同性間の愛情表現を自然に描いた。
また、彼女は自身がバイセクシュアルであることを公言し、恋愛や身体の自己決定権を強調。
2022年には「女性は自分の欲望を恥じるべきではない」という趣旨のコメントをSNSで発信し、若い女性ファンから絶大な支持を受けた。

一方で、性的描写や挑発的なパフォーマンスは一部の保守的な層から批判を浴び、「若者に悪影響」「過度な露出」といった否定的意見も少なくない。
特にカトリック文化が根強いカリブ諸国では、MVや歌詞の内容を巡ってテレビやラジオで放送禁止となるケースもあった。
しかし彼女はそうした批判に対し、「私の表現は現実の女性の声を代弁している」と反論し、むしろ“検閲”を逆手に取って話題を拡大させてきた。

結果として、Tokischaはジェンダー平等やセクシュアル・ダイバーシティを巡る議論の中で、音楽シーンを超えて“文化的論争の中心人物”となった。
その姿勢は、単なるアーティストを超え、社会的なムーブメントの象徴として彼女を位置づけている。

代表曲リスト

1. Pícala

Tokischaの存在を初めて世に知らしめた1曲。
地元ドミニカのクラブシーンで火が付き、ストリート感満載のリリックが話題に。
粗削りながらも、唯一無二の声と表現力が光るデビュー作。

2. Tukuntazo /Tokischa x Haraca Kiko x El Cherry Scom

ドミニカの人気アーティストHaraca KikoとEl Cherry Scomを迎えた強烈なデンボウチューン。
挑発的な歌詞と掛け合いがクセになり、地元クラブやYouTubeで瞬く間にバイラル化。
Tokischaのストリートクイーンとしての地位を確固たるものにした1曲。

3. Linda / Tokischa x ROSALÍA

スペインのポップアイコンRosalíaとの異色タッグ。
女性同士の友情や連帯感を描いた。SNSで爆発的に拡散され、ラテン圏外のリスナーも獲得。

4. Delincuente /Tokischa x Anuel AA x Ñengo Flow

重低音の効いたラテン・トラップビートに、ストリートの危険な世界観を描いたリリックが乗る。
Tokischaの挑発的なバースと、Anuel・Ñengoのギャングスタスタイルが絶妙に融合。
賛否を呼びつつも、カリブのアンダーグラウンド感を世界に轟かせた話題作。

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